患者さんから信頼される診療所で
患者さんから信頼される診療所で
基礎疾患に糖尿病があり、せいきょう診療所に長年通院している男性患者Aさんの事例を紹介します。
Aさんは認知症が進行し、糖尿病の自己管理が困難となりました。現在は訪問看護師と連携して内服と自己注射を行っています。認知症が進んでも、当院の通院だけは忘れずに続けています。
ある日、外来終了後にAさんの家族から「道端で転倒し顔全体から出血している」と連絡がありました。家族が病院へ連れて行こうとすると「病院は絶対に嫌だ。行くならせいきょうがいい」と頑なに病院への受診を拒否し、困っているようでした。(普段家族は別々に暮らしていますが、定期的に様子を見に来てくれています)
訪問看護師はAさんの出血がなかなか止まらないため、病院への受診を勧めました。それでも頑なに拒否を続けていました。
とりあえず家族が付き添って当診療所へ来ましたが、医師が不在だったため、看護師が簡単な処置をしました。徐々に出血は治まり、歩行できると確認できました。家族と相談した結果、今日は自宅で様子をみることになりました。
医師へ報告し経過観察をしましたが、悪化することなく、現在も通院を続けています。
転倒してしばらくは頭部の検査を勧めましたが、「ここで診てもらっているからいい。安心する」と言われました。
医療従事者としては検査してほしいところですが、この診療所がAさんにとって「信頼できる医療機関」であって嬉しいと思いました。
今後も患者さんの信頼に応えられるよう、日々努力していきたいと思います。
(せいきょう診療所・2025年3月号掲載)