回復期リハビリ病棟での看取り体験から思うこと
回復期リハビリ病棟での看取り体験から思うこと
私の働くリハビリ病棟は急性期治療を終えてリハビリを行い、在宅退院を目指す病棟です。
今回紹介するAさんは、自宅で転倒し、他院へ救急搬送されました。CTで座骨骨折と誤嚥性肺炎を認め、入院加療にて軽快しました。しかし入院が長期間となったことで廃用症候群が進行、リハビリ目的で当病棟への転院となりました。既往は慢性心不全、慢性呼吸不全、食道がん、甲状腺機能低下症などです。
入院時より不安の訴えが多く、閉所恐怖症から「カーテンを閉めないで」「怖くて眠れない」などの発言がありました。そのため、寝る間際まで「そばにいて欲しい」と希望されました。可能な時はスタッフが側で傾聴し、スマホからリラックスできる音楽を流していました。その結果、落ち着いて眠れる日も増えていきました。このような関わりから、Aさんは懸命にリハビリを続けることが出来たのではないかと思います。
しかし心不全による呼吸器症状が悪化し、ついには回復期リハビリ病棟の役割であるリハビリが十分に出来ない状態になってしまいました。
ご家族に病状説明した際に、Aさんは症状の辛さから「早く楽になりたい」と常々話されていたそうです。本人の思いを尊重し、積極的治療は行わない方向(=DNAR)となりました。
当時はコロナ禍でもあり、まだ面会制限もありました。しかし、最後の数日は特別に面会許可を出し、ご家族がそれぞれの時間を過ごせる場を設けました。スタッフも可能な限り側で手を握るなど、見守りながら静かに永眠されました。Aさんは寂しがることなく最期を迎えられたのではないでしょうか。
回復期リハビリ病棟での看取りは年に1回程度と少ないですが、誰でも最期を迎えることを念頭におき、「私たち若手看護師にもできること、私たち若手看護師だからできることは何か」と考え、今後も患者様に寄り添う看護をしていければと思います。
(小豆沢病院・2024年9月号掲載)