東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

患者の「家に帰りたい」を叶える

 あきしま相互病院は在宅室と慢性期・回復期の2つの病棟を持つ病院です。3階さくら病棟は医療療養病床と地域包括ケア病床の機能を持った55床の病棟です。
 60代のアルコール性肝硬変のAさん。最期まで在宅で過ごしたいと希望され、当院の在宅室も訪問看護もそれを支えていました。離婚し独居(猫と同居)生活、時々他県在住の姉が様子を伺いに訪問していました。ある日訪問時に意識もうろうとした本人の様子を見た姉から在宅室に入院希望の連絡が入りました。すぐに入院はできず、週末は姉に泊まってもらいつつ緊急入院しました。
 入院後しばらくは落ち着いていましたが、時々意識混濁がみられ、個室対応となりました。面会した姉からは「もうこれで最期だろうから家に連れて帰りたい」「長いことは無理だから少しだけ・・」と希望がありました。まだ意識混濁が時々あり、予定した日に退院可能かは不明な状態でしたが、在宅室看護師も「ぜひ一度自宅へ。それが本人の希望だったから」と力強い言葉。不安があり迷われていた本人も、自宅から飼い猫を連れてきて病院の庭で面会したことで、帰りたい気持ちが強くなりました。姉の仕事のタイミングに合わせ一時退院を調整。インスリンや点滴の時間等も調整し、姉も泊まり込みで協力しました。
 楽しみにしていた自宅で2泊を過ごしたAさん。再入院の朝に早めに病院に戻りたいと連絡が入りました。予定時間より1時間近く早く戻ってきたAさんは「あまり楽しくなかった」姉は「大喧嘩しました」と涙を流して「あんなわがまま言うようじゃ看護師さんも大変。もう二度と退院させない、しばらく面会にも来ない!」と訴えました。それでも1か月後にはまた「帰りたい」「一泊だけでも帰らせてあげたい」と希望が聞かれ、何とか応えようと準備を進めています。
 在宅と病院を行ったり来たり、状態も不安定で様々な調整や準備に労力と時間を必要としますが、それでも希望を叶えられるならばと今日も奮闘しています。

(あきしま相互病院・2024年6月号掲載)