東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

看護力、チーム力で在宅治療に

 当訪問看護ステーションには関わりが長い方が多いのですが、Nさんは13年訪問しています。
 Nさんは、60代の時脳出血を発症、左麻痺の後遺症がありますが在宅で車椅子生活を送ってきました。そのNさんが車椅子からの移乗に失敗し、大腿骨頸部を骨折し手術のため入院することに。悪しくもコロナ禍で、ご家族は面会も大好きなスイーツを差し入れることもできません。
 手術から3週間後、担当のケアマネージャーさんから、Nさんのご家族が病院から「病院食を食べない、リハビリも進まない。自宅退院は難しいだろう。施設を探した方が良い」と告げられたと聞きました。私たちは、自宅に戻ればきっと元気になると思い、ケアマネージャーさんに「自宅に戻れるよう手伝って欲しい」と相談しました。そしてご主人に「Nさんに家に帰ろうといってあげて下さい、介護は私たちチームにお任せ下さい」と伝えました。
 それから1週間後、Nさんはひと回り痩せて、ストレッチャーで帰ってきました。「おかえり」というと、小さな声で「帰れてよかったわ」と返してくれました。臀部と踵に褥瘡ができており、腕には毎日の点滴による痣がありました。
 その日から、訪問看護とヘルパーによるNさん復活作戦がスタートしました。嚥下状態が悪くなっていたので、在宅医に栄養剤を処方してもらい、ご家族にはゼリー飲料を用意してもらい、皆で協力して1日10回くらい経口摂取訓練をしました。頻回に話しかけて覚醒を促し、朝夕の訪問看護では、褥瘡処置とROMや座位訓練などのリハビリを実施しました。その甲斐あって、Nさんは2~3週間経過すると自力で栄養剤が飲め、会話ができるようになりました。栄養が摂れ、褥瘡も劇的に改善、リハビリも意欲的で端座位がとれるようになりました。ご家族も驚く回復ぶりです。
 看護力、チーム力が功を奏し、本当に良かったと思いますが、何よりも大好きな自宅に帰れたことが一番の特効薬だったのでしょう。
(小豆沢病院訪問看護ステーション赤塚事業所・2022年9月号掲載)