きめ細かく連絡し合い、確認する
きめ細かく連絡し合い、確認する
「エアコンなしで、よく暑い夏を乗り越えてきたな」と思うような居室で過ごされている方に、未だに遭遇します。Aさんは生活保護を受給しながら一人暮らしをする80代男性です。暑さを感じ始めた5月にエアコン購入の話をしました。
Aさんは「エアコンは付けたいが、お金が払えない」とのことでした。生保の担当者に相談し、社協の応急小口資金貸付制度の提案がありました。担当者よりAさんへ説明をしましたが、毎月4千円の返済は厳しいとのことで、Aさんの了解は得られませんでした。
6月中旬になり、夏の暑さをAさん自身が感じはじめ、私たち医療者からの説得もあり、ようやくエアコンを購入することを決心しました。ところが待っていても、一向にエアコンが付きません。生保担当者に問合わせをしても「社協の審査結果待ちです」の繰り返しで、とうとう7月末になってしまいました。
Aさんも「暑い部屋で熱い風呂に入れられるから、ゆでダコになってしまうよ」と、いつ熱中症になってもおかしくない状況です。避難のため、緊急でレスパイト入院の手配を行いました。
入院中に設置を完了させるために、再度、生保の担当者に連絡をしました。「来週、社協の審査会にかけられます」と相変わらずの返事です。そのため、社協に直接問い合わせをすると「生保の担当者から必要な書類が2通、提出されれば、明日にでも審査は通ります」と返答を頂きました。すぐに、生保の担当者にその旨を伝え、書類を提出していただき、翌日には審査が通りました。その1週間後の8月下旬にようやくエアコンがAさんの自宅に設置されました。
今回の件で実感したことは、最初から人任せにせず、自分で連絡、調整をしていればよかったのかもしれない、ということでした。しかし、困難を抱えた事例を支えるのは連携の力です。公的機関も巻き込みながら、きめ細かく連絡し合い、確認し合い、架け橋になっていくことが私たち民医連の診療所ができることだと考えました。
(桜山診療所・2021年11月号掲載)