患者・家族の思いを知ることの大切さ
患者・家族の思いを知ることの大切さ
私は事業所内の訪問看護STで4年働き、去年より診療所に異動してきました。異動してみて、外来の仕事をすると同時に訪問診療の補助業務もするようになり、訪問看護とはまた違う面から患者さんと関わり、学ぶことが多くあります。
訪問看護で、排便コントロールで週1回訪問していた、A氏(男性)がいました。同居の家族は妻と息子。普段は妻が介護していますが、排便時のオムツ交換は重介助なため、仕事帰りの息子が担当しています。そのため、家族はなるべく訪問看護の時に便を出し切り、後はデイで出てほしい、それ以外在宅中は排便があると困るという思いでいました。
しかしながら、完全にそうはいかないこともあり、妻に強く「また訪問看護の後に出たのよ」などと言われることがあり、悩む事例でした。
そんなA氏に、診療所から訪問診療の補助にて訪問することになりました。訪問診療時の妻の表情は、訪問看護のときとは違い笑顔が多く、ご自分の悩みなども多く話をされていました。
訪問看護時には、きつめな印象を受けていましたが、妻の穏やかな一面がみられ、「きつい印象な妻」には理由があり、妻からよく話を伺い、どういう思いでいるのかを知り、そのうえでA氏にとって良いことを一緒に考えられたら良かったなと、改めて考えさせられました。
その後は、診療所と訪問看護で相談して、家やデイの状況を伺い、下剤の調整などを行い、コントロール良好になっています。
家族やご本人を「こう」と決めず、関わりにくいと思うことがあっても、それはなぜかと考えて、積極的に関わることが大事だと学び、患者さんと家族の思いを知り生活を知ることで、より細やかな看護ケアにつなげられると感じた事例でした。
まだまだ訪問診療の補助業務をし始めたばかりですが、訪問看護の時と同じ患者さんに訪問させて頂く機会があるので、訪問看護と診療所とで情報を共有し密に連携して、患者さんが安心して過ごせるような環境をこれからもつくっていきたいです。(和田堀診療所・2020年3月号掲載)