家族の心に残る最期の関り方を
家族の心に残る最期の関り方を
2007年に高齢化率が21%を超え「超高齢化社会」になりました。それに伴い在宅で最期を迎える方も多くなりつつあります。
私がいる部署は、住み慣れた在宅で最期まで過ごしたい希望を実現するお助けをする部署になります。今回在宅での関わりをご紹介したいと思います。
A氏94歳女性、心不全・認知症。娘さんが同居されており、真摯に介護をされている一方、普段1人で見ていることで不安になることもあり、訪問看護と連携しながら、その都度訪問させて頂いていました。呼吸状態も変化し在宅での看取りとなり、互助会に入っていると聞いたため、その後は互助会に連絡を取って頂くよう伝え、退室しました。
翌日、娘さんに連絡したところ、湯灌の代金が高いため、本日訪問看護に処置をお願いしようと思っているとお話され、亡くなってからでは訪問看護はお願いできないことを伝えると、とても困ったような悲しそうな声で「自分でやります」と話されました。
電話を切った後、娘さんの様子が気になり再度電話をかけ、昼過ぎであれば伺えることを伝えました。
昼過ぎに伺うと、「本当は1人でどうしようかと思っていて助かりました」と、安堵した様子でお話され、娘さんと一緒に死後処置を行う中、A氏の若い頃の話や娘さんの思いなども聞くことができました。
私たちと出会う前の母親や妻の役割があり、その経過を経て今のA氏があることを改めて実感しました。最期の時をご家族に不安を与えた状態で終わりにしてはいけないと思ったと同時に、「終わりよければ全て良し」ではないですが、最期の関わりはその後のご家族の心に残るものであり、その先に繋がっているのだと思えた関わりとなりました。
これからも出会った方々に感謝の気持ちを忘れず関わっていければと思っています。
(王子生協病院・2020年1月号掲載)