連携で叶った病院から在宅へ
連携で叶った病院から在宅へ
A氏、68歳男性。もともとCOPD、肺癌(根治放射線治療後)でB病院にかかりつけ。2017年4月、左気胸を発症し呼吸不全の増悪により気管切開。O214ℓ使用、状態が落ち着いて今後どうするかとなった時、本人は「どうしても家に帰りたい」と強い希望があり、B病院ケアマネジャーより相談がありました。
初めて話を受けた時は「自宅で呼吸器使用し、14ℓなんて本当に大丈夫なのだろうか?」。今まで、14ℓもの酸素を使用した方を在宅で診療することがなかったため不安でした。
病院のカンファレンスに参加して、紹介された施設に見学に行った妻から、「壁に囲まれたところに行かせたくないと思った、本人が家に帰りたいと言うなら帰らせてあげたい」との思いを聞き、診療所、訪問看護、ケアマネジャーのスタッフは、何とか家に帰れるようにしたいという思いに変わりました。
呼吸器に慣れてもらうため病院で使用してもらい、妻にも吸引、呼吸器の使用方法など指導。必要物品の手配など病院スタッフとともに帰宅準備しました。
いよいよ退院の日、介護タクシーに看護師同伴で乗り込みましたが、「移動中何があってもおかしくない」と担当医に言われていたため、家の前に車が着き、家の中までの移動が終わるまで、スタッフは皆緊張していました。
何事もなく家のベッドに横になった本人の顔は、にこやかでホッとしていました。家に帰って来ることができて本当に良かったと思いました。
しかし、問題はここからでした。アラームが鳴っている、痰がうまく引けないなど日常に起こる小さな不安が起きるたびに訪問看護が対応し、医師に繋ぎ、時には連日往診、訪問看護をして対応しました。そしてその後、1年8か月もの間、自宅で過ごすことが出来ました。
病院から地域医療への連携、自宅では診療所、訪問看護、ケアマネジャーの連携で本人とご家族を支えてこられたのではないかと実感しております。
(西小山診療所・2019年11月号掲載)