東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「あきらめない看護」を実践

 「輝け看護」とはいささか遠く、常にお詫びしてどんどん錆びていく「詫び錆び(わびさび)ナース」の昨今。来年還暦のナース人生は恥の多いことばかりだ。
 理解ある上司に恵まれ、頼もしい同僚やスタッフに支えられ、チームとして病棟・訪問看護で難病や癌末期の方の支援やケアに取り組んだのははるかになったことか。だが、難治性褥創のAさんを偲んで年に一度、当時関わったスタッフが集う会は欠かすことなく今年13回目となった。
 Aさんは高齢で寝たきり、笑顔がやさしい。訪問開始後2年目の年末に乏尿血圧低下もあり、末期で年は越せないだろうと、介護者の娘さんの手がかからないよう主治医と相談して褥創には被覆材で対応していた。年が明けると体調が安定、反面褥瘡は想定外に悪化し無残だった。娘さんに叱られ、出入り禁止になったことがまるで昨日のことのように思い出される。
 褥瘡によい食品を紹介し、「脱水予防はスキンケアから」と、くまなく全身清拭と軟膏塗布を行い創処置の手順を工夫し、時に2人訪問で忍耐強くケアを行った。地域の開業医として信頼が厚い主治医のY先生や皮膚科のS先生も、ともに悩みサポートしてくれた。
 骨が見えていた褥瘡も毎日2回の処置と全身ケアで年単位だが改善し、「あきらめない看護」を自分の異動後も実践してくれた仲間たちには、感謝の気持ちでいっぱいだ(足を向けては眠れない)。
 看護師として、褥瘡のアセスメント不足で悪化させたことはあってはならないこと。このケースで医師と看護師だけでなく家族にも傷を見せ、処置について一緒に相談する場を作ること、そしてケアの力を学んだ。今、自分は母を入所させている立場として、娘さんの気持ちが少しわかるような気がする。
 昨年4月から2ケ所目の診療所に赴任し、診療所看護師の役割について模索する日び。直接ケアには関わらないが、きらきらと熱い訪問看護集団に触発され、劣化していられないと思うこの頃である。
(かもん宿診療所・2019年4月号掲載)