多方面から患者さんを理解する
多方面から患者さんを理解する
小平にある訪問看護ステーション泉は、地域で連携し、最期まで自分らしく生きられるための支援をしています。
5年前近隣の総合病院から、月に数回不定愁訴で救急搬送される患者さんの依頼があり、60代女性で生保のAさんに関り始めました。
不定愁訴があり、対応に困った娘さんが緊急携帯へ、昼夜を問わず電話をかけてきます。娘さんに対応方法を指導し、連日の訪問に切替えることで、夜間から朝にかけての緊急電話は徐々に減っていきました。
30代の娘さんと20代の息子さんと暮らしているのですが、家はゴミが溜まり、床と壁はカビだらけ、悪臭が漂っていました。トイレ、食事以外は寝て過ごしており、フレイル状態です。
Aさんは高校を中退し、夫から激しいDVを受け、離婚し、生保となりました。東日本大震災で家が倒壊し、東京で独立していた娘さんの家に移ってきました。
当法人の交流会で、AさんについてSDH(健康の社会的決定要因)の視点から考える機会がありました。また、月1回の小平の圏域カンファでも、多職種で話し合いました。
Aさんがなぜフレイル状態となっているのか。DVや震災の心的外傷があり、環境の変化でストレスとなりやすいこと。教育を受ける機会が限られてきたことで、わからないことが多く、それがまた不安となっていること。視点を変えて考えることでより深くAさんを理解することができました。
また、多職種で話し合うことで訪問看護では知らなかったAさんについて知ることができました。「困った患者さんというレッテル」をはらず、一つの視点ではなく多方面から患者さんを理解し、患者さんに寄り添った方法で看護を提供していきたいと思います。
(訪問看護ステーション泉・2019年2月号掲載)