東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

精神科病棟が内科病棟と連携して

 当院は、東京民医連事業所内で唯一精神科病棟があるという特徴を生かし、内科病棟と連携して日々の医療実践に取り組んでいます。
 40歳代の男性A氏は、幻聴による事故後、都内の病院からリハビリ目的で当院の回復期リハビリ病棟へ転院してきました。慢性幻覚妄想状態が続く中、集中的専門的リハビリを行っても、Aさんの「歩けるようになりたい」という願いはかなわず、リハビリ期限を迎えました。自力立位はできずベッド上生活の状態で精神科病棟へ転棟してきました。
 当初、A氏は「見捨てられた」と落胆し、病状も不安定となり将来への不安や思うようにならない現状への苛立ちなどで声を荒げる事もありました。そして回数の減少した、貴重なリハビリに臨む時間も減り、一時は褥瘡が形成されました。
 そこで病棟スタッフは、カンファレンスを行いました。個室に閉じこもっているA氏に大部屋に移ってもらい、療養闘病している他患者と関わりをもってもらう、スタッフに委ねがちであった更衣や体の向きを変える等、A氏にも行ってもらうように粘り強く働きかけていきました。
 また、「受け持ち看護師」だけでなく、ケアワーカーにも「受け持ちケアワーカー」を担ってもらい、より密な日常生活援助を行うようにしました。A氏は徐々に他患者と会話し、いつしか麻雀をしながら笑うようになりました。
 病状安定後には、患者参加型看護計画を導入。少し先の目標を共有し、一緒に頑張れるようになりました。退院前には移動用のボードを臀部に差し込めば、自力でベッド⇔車椅子を移動し、車椅子を運転するまでになりました。A氏から病気があっても支援によって本来の自分を取り戻すこと、看護師として患者の要求をとらえ、あきらめずに働きかける大切さを改めて教えてもらいました。
 退院後、A氏は高齢の母親と2人暮らしです。今の社会保障サービスでは、障害があっても地域で安心して豊かに暮らすには、あまりに不十分で不安ばかりです。微力ですが少しでも改善するようにできることをしていきたい、と思いました。
(みさと協立病院 精神科病棟・2017年9月号掲載)