東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

患者の思いに沿って多職種で見守り

 長年、気管支喘息で通院しているA氏(80代)独居。
 王子生協病院にかかりつけで喘息発作を繰り返しては入院していましたが、2014年、認知症で内服管理が出来ていないことがわかりました。家族の協力を得ようとしましたが、弟は積極的に関わろうとしませんでした。自宅から近い診療所に内服管理を頼もうとしたのですが、本人が拒否。そこで毎日バスに乗り、外来に内服通院してもらうことになりました。
 何度すすめても、他人に干渉されることをかたくなに拒み、介護保険の利用も拒否。認知症のため、来院することも忘れてしまうので、来ない時は電話をかけ4日以上来ないと弟宅または地域包括に電話し様子を見に行ってもらいました。弟は自分の体調面での心配もあり関わることに消極的でしたが、出来る範囲で様子を見に行ってくれるようになりました。
 2016年に入り、受診したことを忘れて呼吸苦を訴えては1日に何度も繰り返し来院。案内ボランティアや事務職員もA氏に話しかけ、話を聞くことで診察を必要とせず帰ることも度たびありました。7月頃からは何日も同じ服装や汗臭いことが増え、清潔が保てなくなり、体重も減少し食事がきちんと取れていないことも懸念されてきました。現状を知ってもらうため弟夫婦に迎えにきてもらうことが増え、外来で管理していくのは難しいと判断。
 すぐに介護保険を導入して8月からデイサービス週2回・ショート土・日・月で利用開始したことで、サービスを受け入れ今の生活を楽しんでいるようになりました。内服薬も弟夫婦の管理になり、発作も起きなくなりました。出来るだけ本人の思いに沿うよう見守ってきましたが、「本当にこれでいいのだろうか?」「いつまで続けるべきか?」と思い悩みながらいろいろな職種のスタッフを巻き込んでカンファレンスを繰り返し、2年間見守ってきました。
 看護だけの関わりではこんなに長く続かなかったと思います。皆の協力に「またがんばるか!」と、次なる難問に向う元気が湧いてきます。
(王子生協病院・2017年1月号掲載)