東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

笑顔を糧に自転車で訪問看護

 Aさん宅に年明けに訪問すると、妻より「お正月に家族が揃った時、孫たちへのお年玉を直接手渡してもらったら……眼に涙を浮かべていてね」と妻もまた眼に涙を浮かべながら話して下さいました。
 4カ月の入院を経て自宅に戻ったのは昨年の春。経口摂取困難で経鼻栄養になり、吸引も必要な状態で寝たきりになった夫の介護に不安が強かった妻は、自宅への受け入れに消極的でしたが、主治医の「どこに居てもそんなに長くはないかも」の言葉で、自宅で介護することを決意。自宅に戻ってからは驚くように反応がよくなり、住み慣れた自宅で夫・父親・祖父としての役割を発揮し安定して過ごせている夫を目の当たりにした妻は、できる限り家で介護したいと思うようになり、肺炎になった時に入院を進められても「家で私が頑張りますから」とキッパリ断って介護を続けています。
 Aさんのように自宅という自分らしく生活できる場で、献身的な家族の介護、それを支える多職種のサービスで安定して過ごせる方は多く、いつも驚かされています。そんな皆さんの笑顔を糧に雨雪、炎天下にもめげずに自転車で訪問しています。
 代々木訪問看護ステーションは渋谷区の北部に位置し、訪問は渋谷区を中心に隣接の新宿区、港区の自転車で15分位の範囲。大きな公園や東京体育館など公的建物、表参道など商業地域があり、2020年オリンピックに向けて変化していく地域にあるステーションです。
 また、同法人で強化型在宅支援病院である代々木病院が近くにあり、同病院の訪問診療地域の中で訪問しているため半数の利用者さんが双方に関わっていますので、密接に連携をとりながら在宅生活を支えています。
 利用者さん・ご家族にとって病状が変化した時に入院できる病院があることはとても心強く安心して自宅で介護できています。
 「この地域に住んでいて本当によかった」と言って頂けるように、療養生活を支え、暮らしや健康も守っていけるように連携を強化していきたいです。
(代々木訪問看護ステーション・2016年3月号掲載)