東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

地域の健康・生活を支えている実感

 芝診療所は1948年に労働者のための診療所として開設されました。その後病院化して80床まで病床が増えましたが、医療情勢変化に伴い、2007年にリニューアルし22床の病棟をスタート。2014年から、11床の有床診療所として再出発しました。
 都心に位置し、地域で生活する人は少ないながらも、古くからの患者・利用者がいます。地域住民やサラリーマンなど働く人びとの利用しやすい診療所を目指して医療活動をしています。現在の病棟の入院患者は在宅患者のレスパイト入院や在宅、施設入所の調整期間の入院・検査入院などが主です。
 再出発後の私たちが、がんばった事例を報告したいと思います。
 Aさん70歳女性、当診療所の患者で友の会の会員。友の会活動も積極的に関わっていました。既往にうつ病があり、心療内科で内服治療中でした。
 今年に入り気力、食欲の低下が見られ自宅にこもるようになり、友の会の会員から、診療所へ様子が変だと報告があり、臨時往診に行きました。脱水症状でグッタリとしているところを発見。直ぐに入院となり点滴開始。入院時から拒薬、拒食、言葉も発しない状態でした。脱水、栄養回復は点滴で補えましたが精神的な治療は困難な状態でした。精神科入院をすすめるも、金銭面で他院での入院治療は難しく、全く介護に関わっていなかった家族(息子)に働きかけ、入院しながら精神科通院していただきました。息子さんの関わりも含め、当診療所でできることを試行錯誤しながら看護・介護へ粘り強く介入しました。退院まで約2ヶ月かかりましたが、徐々に心を開いてきて、自ら声を発し会話をしてくるまでになりました。食事も最終的には自分で食べるようになり除々に回復が見られました。寝たきり状態が長く続いたため、歩行訓練や、階段昇降など息子さんにも協力してもらい、何とか自宅退院の目途ができました。ケアマネージャーと協力し在宅調整を行い、息子さんと暮らせるようになりました。
 現在は、時々ではありますが、見守りで外出もできるようになり、当診療所に友の会の方たちと笑顔でボランティア活動に来ることもあります。
 11床の小さな病棟ですが、私たちの細やかな関わりで、地域の人びとの健康・生活を支えているというのが実感です。今後も、様ざまな部署と協力しながら頑張ります。
(芝診療所・2015年8月号掲載)