東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

人との関わりの中で

 老々介護、病々介護、認々介護、独居と在宅医療・看護・介護を必要としている人が多くなってきています。病棟看護師として入院された患者の家族背景、介護サービス状況を踏まえて個別性のある看護を提供していかなければならないことを念頭に日々業務に努めています。
 在宅退院に向けて病状説明、合同カンファレンスなど、かなりの時間を要し在宅調整を行っていますが、そこに参加する家族やケアマネジャー、訪問看護師との話し合いの中で、入院時のアナムネ聴取や入院中に把握しきれない自宅での介護状況が見えてくることがあります。
 在宅調整で心に残ったことがあります。入院前は、排泄や食事も自立していた93歳の女性が肺炎、うっ血性心不全で入院されました。主介護者は、統合失調症のある息子さん。母子二人で互いに支え合い生活されていました。入院後、呼吸状態も悪くベッド上安静、酸素療法開始となりましたが、それでも自宅に帰したいという息子さんの強い希望があり、在宅調整、退院に向けての介護指導を行うことになりました。ただこの息子さんにオムツ交換が可能か…迷っている時、訪問看護師さんより、「以前オムツの当て方が分からない介護者がいて、重い両足を両肩にかけてオムツを当てようとしていた人がいた。病院では簡単に説明していただければいいですよ。フォローは私たちがします」との一言。この息子さんの介護力、精神状態が不安定であったことも考慮し、テープ式オムツの簡単な当て方のみを指導する方針になりました。まさに患者、家族状況にあった細やかな在宅調整となりました。病棟での退院指導も、家族に不安感を与えず、そこに関わるケアマネジャーや訪問看護師との情報交換、情報共有することで、患者家族が安心して住み慣れた自宅で暮らし続けられることを改めて実感しました。今後も相手の立場になって、自分らしい、安心を提供する看護をしつづけていきたいと思います。
(大泉生協病院・2014年7月号掲載)