東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

在宅診療業務の難しさ

 私は今まで病棟や耳鼻科のクリニックで働いてきました。在宅診療に特に興味があったわけでもありませんでしたが、ご縁があり新小岩診療所で働くことになりました。
 そんな私にとって、新小岩診療所での在宅診療に関する業務は戸惑いや反省の連続でした。病棟やクリニックで患者さんを待っている立場から、患者さんの家に出向いて診察介助・看護業務をするということに慣れず、自分の仕事に精いっぱいで、限られた時間の中での会話から状況をよんだり、表情から思いを感じたりすることがまったくできませんでした。
 今でも苦手意識はありますが、最初の頃は医師の診察の邪魔になってはいけない、また何を話したらいいのか分らないということもあり、ごあいさつぐらいしかできず、コミュニケーションをとるのに苦労しました。
 ただそんな時でも、患者さんやご家族の方は、緊張している私に対して「これからよろしくね」と笑顔で声をかけてくれました。先輩スタッフは「最初からできる人なんていない。むしろ、最初からできたら私たちが困る。絶対にできるようになるから大丈夫」と温かく励まして下さり、その言葉があったからこそ、今日まで頑張ることができました。
 在宅では多様な生活背景の方がおり、その人にとって何が最善の方法なのか様ざまな職種の方々と連携し関わっていくことは今でも難しく、考えさせられることが多いです。
 その人の性格や価値観、家庭環境、経済状況によっても最善の方法は異なり、正解は一つではありません。患者さんやご家族に対し、その時にできる最大限のことができるよう知識を深め、自己の言動を振り返ることを忘れず、頑張っていきたいと思います。
(新小岩診療所・2014年6月号掲載)