東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「生きる」を支えるために

 病気のため、ほぼベッド上の生活を余儀なくされている90代の女性。週1回元気にデイサービスに通い、月2回訪問看護を受けていました。
 ある日、診療所から「痰が多くなったので臨時訪問を」と依頼があり、その日から毎日訪問することになりました。
 子どもは3人で、同居している長男が主に介護をし、妹2人も時間を作って手伝いに来ていました。元気だった母の状態があっという間に悪化していく経過をそばで見ていることへの不安は、恐怖に近かったのでないでしょうか。
 「生きていてほしい」「入院すれば…」「でも大好きな家に帰ってこられなかったら…」「痛いことするのはせつない」そんな家族の不安が、手に取るように伝わってきました。
 診療所の師長が家族の相談に乗り、入院はしたくないという本人の意思を尊重し、在宅での看取りを決心しました。師長がリーダーとなり(師長は意識していなかったと思いますが)訪問看護師と現状を報告しあいながら、かかわるすべての職種が、家族が安心できるような言葉かけをするよう徹底しました。
 訪問看護師は息子を中心に介護指導を行い、兄妹ができる限り介護に携われるように支援しました。
 長男は不安が強く、それが母に伝わり表情が険しくなるようでしたが、訪問の度に丁寧に質問に答えながら、兄妹の子どものころの話で盛り上がると、本人の表情が穏やかになりました。
 いつでも診療所の師長に連絡が取れて、毎日訪問看護師が来てくれて、愛する母と穏やかな時間を過ごすことができたとご家族からお礼の言葉をいただきました。
 最期まで住み慣れた風景の中で「生きたい」という本人の希望に、家族とともに寄り添うことができたと思います。ご家族へ「貴重な、そしてとてもやさしい時間を共有させていただき、ありがとうございました」
 診療所の師長さんへ「これからもよろしく!!」―訪問看護師より
 (上高田訪問看護ステーション・2014年5月号掲載)