東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

患者さんと同じ気持ちで

 K氏は直腸進行癌。K病院で手術後、抗がん剤治療目的で当院へ入院することになった。入院前には「家に帰って書類の整理をし、お盆を家で迎えたい」と自 宅で過ごした後、当院で抗がん剤治療を開始した。しばらくは調子も良く治療は順調だったが、9月に入りADLが徐々に低下する中で、もう一度退院を希望さ れた。
 K氏はこれが最後の自宅生活になるだろうと覚悟もあり、私たちは在宅での看取りもあり得ることをK氏、家族(妹ら)に説明した。
 また急変時に他院へ搬送されることがないよう救急外来にも申し送りをするなどの対応で、2週間自宅での生活を送ることができた。
 その間に転倒が増え、自宅生活に限界を感じ再々入院することになった。この頃からADLの低下が著しく、死にゆく過程とセデーションについて私なりの言 葉で伝え、このまま抗がん剤治療を続行するかも含め、K氏が自分らしく生きていくために何をしたいか、最期は病院で迎えたいのか、自宅で迎えたいのか考え るよう伝えた。その後、主治医から病状説明を受け、抗がん剤治療は止め緩和ケア中心で行くことになった。
 その後はK氏がポータブルトイレ使用を希望された時は2人で介助し、「中華が食べたい」と希望された時は近くの中華屋への外食を予定した。日本そばの希 望には出前を取り、「座って食べたい」と言うK氏を3~4人でリクライニング車いすへ移動。そのK氏に声をかけるため看護師が部屋を訪れる中、K氏はふた 口そばを食べられた。またある日は、K氏が車いすでの散歩を希望するとすぐに許可を得て散歩に行く。
 またまたある日には「足をもんでくれ」と言うK氏のためにいつの間にか病棟にオイルが準備され、オイルを使用し足のマッサージをしたと深夜勤務の看護師より申し送りがある…。
 最期は自ら主治医にセデーションを希望され穏やかな死を迎えられた。
 患者さんの細やかな希望に看護師が同じ気持ちになって看護していくそんな私の病棟が大好きです。
(小豆沢病院3階病棟・2013年新年号掲載)