東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

「私、よく頑張ったよね…」

 9月末、診療所からの紹介で子宮がん末期の41歳の女性が入院しました。最後まで自宅で過ごしたいという強い希望があり、6月から診療所で疼痛コントロール・緩和ケアをしていた方です。
 そこでは彼女の希望に沿いできるだけ通院ができるように援助していました。下肢浮腫による歩行困難がでると送迎をしたり、子どもの予防接種にあわせた看護外来で子どもと話をしながら一緒に足浴、足のマッサージをしました。
 貧血がすすみ輸血しても嘔気と動悸、呼吸苦も出現したため「できるだけ子どものそばにいたい。元気になりたいので入院したい」と入院を決められました。
 入院時は、下肢・体性浮腫、労作時の呼吸苦がありましたが、トイレ歩行はできていました。しかし、翌日悪寒戦慄とともに一過性に意識障害も出現して個室 へ移りました。「入院してよかった。家にいたら私どうなっていたかわからなかった」と感謝されました。起き上がりが困難になり、身の置きどころのない苦痛 や呼吸苦が出現したため塩酸モルヒネを開始しました。
 夫は病状の受容ができず、子どもへの伝え方も戸惑っていました。来院時には必ず夫や子どもに声かけし、またつきそいベッドを出して夫や母、小学生の子どもたちと一日中過ごしてもらえるように関わりました。
 数日後、彼女は「体が動かせないので帰りたくない。家族に迷惑になる」「もういいよね。がんばったよね…」と話され、傾聴していきました。そして入院9 日目に夫と子どもたち、母や妹に見守られる中、彼女は息を引き取られました。夫も最期は「ありがとうございました」と落ち着いた様子でした。その後、診療 所スタッフで家族のグリーフケアに訪問もしています。
 彼女の闘病、人生の最期に家族とともに関わらせてもらい、多くのことを学ばせて頂きました。今後も、診療所と連携しながら看護を深めていきたいと思います。
 (王子生協病院・2012年新年号掲載)