在宅ひとり暮らしを支えて
2011年4月から代々木病院に訪問診療部が誕生しました。診療所で担当していた在宅支援機能を診療報酬の変更に伴って病院に移行したからです。ここの担当者になって、早2カ月。あっという間に時間が過ぎていきます。
千駄ヶ谷の地域の在宅患者さんは、超高齢です。106歳を筆頭に、100歳以上が6人もおります。その中に、一人暮らしでついこの間亡くなられたNさ ん。Nさんは、3年ほど前、「一人暮らしはもう無理ではないか」との周りの判断で施設に入所されました。しかし、家に帰りたいと「ハンスト」を3日間続 け、根負けした姪御さんが連れ帰ったそうです。以来、盆と正月のヘルパーさんの支援が薄くなる時期は、代々木病院に入院し、休みが終わると在宅へ戻りひと り暮らしを続けていました。
「ぎりぎりまで家にいて、最後は大好きな代々木病院で終わることができ、嬉しかったと思います」と、姪御さんは静かに話してくれました。「とても寒い部 屋だったけどね」「こたつで寝ていたけどね」と。Nさんの生活を支えた人々は「でも、家がよかったんだね」と続ける。丁度100歳でした。その人に歴史あ り。こんなエピソードも亡くなってから知りました。
地域の病院として、患者さんとのお付き合いは長期にわたります。誰かが知っていることをみんなが知っていることに変えて、本当の意味の「地域支援病院」になっていきたいと思う毎日です。
(代々木病院・2011年6月号掲載)