東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

精神デイケアの日々

 民医連で働き始めて10年以上経ちました。それまでは公立病院で働いていましたが、子どもが病気でも休ませてもらえず退職しました。5年間のブランクを経て、みさと協立病院の精神科病棟でパートから再スタートしました。
 病棟のカンファレンスでは、医師を含む他職種が参加し、患者さん一人ひとりの病態や治療方針など丁寧に検討している光景に、がく然としました。
 今まで患者さんのためにこんなに話し合ったことはあっただろうか、毎日の業務に追われ患者さんを機械的に扱っていたのではないかと、これまでの看護が否定されたようなショックを受けました。
w  また、上司・スタッフも理解があり、子どもが病気しても休めたり夜勤も相談に応じてくれたりして、心に余裕が出て自然と笑顔が増えてきたように思いま す。自分に余裕がなければ良い看護ができません。患者さんとじっくり向き合い、あきらめない看護を心がけようと誓いました。
 現在は、精神デイケアに勤務し日々困難事例と出合います。今、受け持っているのは30代の発達障害(アスペルガー)のA氏。母親から働くように言われ逆 上し、家庭内暴力が始まり施設に強制収容されました。退所にあたり母親の主治医が交渉し、施設や行政の反対を押し切ってようやく退所できました。しかし、 施設に入れられた恨みからか、A氏の家庭内暴力が再度始まり、家族が家を出ることでおさまりました。
 その後、A氏はデイケアに通い、病棟スタッフや入院患者さんの力を借り病棟のボランティアをしています。1カ月ほど経ち、自信もついてきたようです。暴力はほとんどなくなり、家族も時々家に顔を出すようになりました。
 就労にこぎつけるまでには、まだまだ時間がかかりますが、A氏の本来の姿が戻ってきたことに感動しています。人間は誰だって自分で回復する力を持っています。その力を上手に引き出すことも看護師の役割だと思います。
 「患者の立場に立った親切でより良い看護・あきらめない看護」を追求しながら、民医連のチーム医療の素晴らしさを日々感じています。精神障がい者が、地域で当たり前にその人らしく生きられるように、今後も民医連の一員として援助し続けていきたいと思っています。
(みさと協立病院・2011年3月号掲載)