東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

地域の専門機関と連携し

 当クリニックは、柳原病院の門前診療所として開設されて5年目。内科(糖尿病・消化器・循環器・呼吸器)、小児科、耳鼻科、皮膚科、心療内科、精神科があります。 1日平均患者数は1206人で看護師5名体制です。
 9月から10月にかけて緊急の循環器疾患が6例あり、救急車で専門病院に転送、いずれも軽快しました。その中でも、急速に病状悪化があるといわれている急性下壁心筋梗塞の事例を報告します。
 季節型インフルエンザ接種や特定健診等で外来業務に追われている中でのことでした。 69歳の男性、高血圧、喘息、高尿酸血症で数年来の通院歴の方でした。
 嘔吐3回、ムカムカが続くと訴えて来院されました。血圧106/50、診察後点滴し、気分が良くなり帰宅されました。2日後、食欲がなく、背部痛を訴え、点滴を希望して来院されました。
 顔色不良で、言葉以上につらい表情が気になりました。バイタルは血圧160/82、SPO299%、脈拍48、心電図異常あり、Q波V1~V4、 ST 上昇、Ⅱ Ⅲa VF CVAブロックあり、血液検査の結果もラピチェック陽性、白血球 1万7400、CRP10以上で、心筋梗塞の疑いで近医の循環器 ヘ転送しました。一時的に珍療はストツプしましたが、短時間で専門医療機関ヘ転送することができました。
 完全房室ブロック、急性下壁心筋梗塞の疑いで即日、冠動脈造影し血栓吸引、ステント留置の治療をうけ、完全房室ブロックに対して一時的にぺースメーカー 使用。数日後離脱でき、退院できました。その後、奥さんと笑顔で来院され、仕事にも復帰されたとのお話があり、看護師一同ホッと胸をなでおろしました。
 今後も外来診療のなかでトリアージを考えながら、患者さんの訴えに耳を傾け病状把握に努め、言葉には表れないその人のつらさを受け止め、異常の早期発見に努めていきたいと思います。
 地域の専門医療機関との連携ができることに感謝して、仕事に励んでいきたいと思います。
(健愛クリニック・2010年新年号掲載)

※ラピチェック=心臓型脂肪酸結合蛋白(H―FABP)心筋傷害早期(1~2時間)に上昇する。全血迅速診断法で、発症2時間以内の超急性心筋梗塞の診断が臨床的に可能になった。