東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

自分から主体的に関りを

 2004年大腸がんにて、右半結腸切除術を行い、2007年2月より外来での化学療法を行っていた男性患者W氏は、最初は表情が硬く口数も少ない印象の患者さんでした。
 当院では、年間約300件近くの化学療法を行っています。初回導入は病棟からが多数ですが、退院後は外科外来が窓口となります。
 W氏とは、当初は外来での診療介助や検査伝票の受け渡し程度の関わりしかない状態でした。そんな折、抗がん剤の副作用で吐き気が出現し入院となります。 通常、普段関わっている外科病棟に入院しますが、突然の入院で外科病棟に空きがなく、内科病棟への入院となりました。
 気になった私は、W氏のベッドサイドに行ってみると、「やっぱり見慣れた人がいると落ち着くね」と声を掛けられました。その事がきっかけとなり、時間が有る時はW氏のベッドサイドに顔を見せるようにしました。
 最初は症状の話ばかりでしたが、徐々に仕事や家族のこと、そして病気に対しての思い等を話してくれるようになりました。また、ベッドサイドに行く事が増えるにつれ、W氏の奥様ともお話をするようになりました。
 ある時奥様より「今まで夫に頼ってばかりで、居なくなったらどうすれば良いのかわからない…あなたへお話し出来ることがとても安心します。」と話されま した。入院と言う環境下であった事、ベッドサイドに何度も行き信頼関係を築けたことで、聞くことの出来た訴えであり、慌しい外来の待合室では聞くことは難 しかったと思われます。
 その後、W氏はお亡くなりになりましたが、患者さんをケアすることは、強いてはそのご家族へのフォローへと繋がることをW氏より教えて頂きました。
 また、外来は病棟と違い、限られた時間での関わりとなってきます。外来受診患者さん、救急搬入の患者さん、上部、下部内視鏡、本当に多岐に渡る患者さん の窓口が外来看護です。その中で、いかに「自分から気にかけるという視点」が大切かという事に気付かされました。
 今後も自分から主体的に関わりを持ち、外来という枠に囚われず、「自分の看護」を行いたいと考えます。
(王子生協病院・2008年12月号掲載)