東京民医連

輝け看護!

みんいれんTOKYO(機関紙)の「輝け看護!」コーナーから

寝たきりから自宅療養に 住宅復帰に応える退院援助

 「歩き尽した奥多摩の山々を女房と一緒にもう一度登りたい」と236日間に渡る苦しい入院生活、寝たきり状態から、驚くべき回復力で自宅療養生活に戻ったKさん(70代)を支えたのは若い頃から歩き慣れた奥多摩の山々への想いでした。
 2006年12月、脱水症状、歩行障害、食欲低下の異変に気付き、奥さんは急いでKさんを立川相互病院につれていき、即入院となり、64日間に渡る治療 後、2007年2月にあきしま相互病院へ転院しました。術後食道癌、心不全、腎機能障害がありながら、当時は朝から酒を水代りにのみ、一升瓶がカラになる のは当たり前、たばこも一日40本という不摂生な生活を送っていました。極めて重篤な状態でした。
 あきしま相互病院への転院時は歩行はやっとで、ふらつきがあり転倒の危険高く、車イス、トイレはオムツ使用、夜間の睡眠障害があり、まっすぐには寝れな いほどの息苦しい状態でした。本人は自宅に帰りたいとの希望をもっていましたが、奥さんは「寝たきりに近い状態」では、在宅の介護はできないと、強い不安 をもっていました。
 病棟では本人の希望をうけ、医師、看護師、介護福祉士、栄養士、理学療法士、薬剤師の各職種が毎週緻密なカンフアレンスを繰り返し、どうしたら、自宅に戻れるか、粘り強い取り組みがくりかえされました。
 日常の生活改善と自立援助を重点にトイレ誘導から、排泄の自立の援助で失禁の改善、歩行自立に向けた取り組みでは、車イスから見守り歩き、杖歩行にとりくみ、食事内容、水分摂取、薬剤対応の調整です。
 5月中旬までは夜間のせん妄、もの忘れもあり、なかなか成果があがりませんでしたが、トイレ、歩行自立の改善が進むにつれ、日常生活にリズムがうまれ、睡眠障害も改善してきました。
 この間、嘔吐や上部消化管出血、誤燕性肺炎等で2度立川相互病院への転院もありましたが、2007年8月、長い入院生活に終止符を打ち元気に自宅に帰ることができました。
 在宅では、浴びるように飲んでいた酒、たばことも縁をきり、週1日のデイサービス等、日常生活のリズムを確立し、元気に過ごしています。「こんなに回復 する人はめずらしい」(主治医)、とても病人とは思えない精悍な顔つきで「今年は女房と二人で奥多摩の山々に登ること」を目標にリハビリに励むと語ってく れました。
(あきしま相互病院・2008年7月号掲載)