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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

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 2022年11月から国(環境省)とディーゼル自動車を製造販売した自動車メーカー7社を相手取り始めた大気汚染公害責任裁定が10回の審理を経て2024年12月19日に結審となった▼裁定の場では毎回申請人が自らのぜん息発作の筆舌に尽くしがたい身体的苦痛と、精神的な苦悩、更には経済的負担を訴えた。ぜん息発作を抑える気管支拡張剤である吸入合剤は年々効能が良くなっているが後発品がないため、薬剤費が高額になる▼自動車メーカーは自動車排出PM2・5(粒子)の健康影響を十分認識が可能であったにもかかわらず、1970年代のオイルショックの影響で売り上げが低迷したガソリン車からディーゼル車に転換し「燃費でお得なディーゼル車」と燃費の良さを強調し、乗用車や小型トラックのディーゼル化を推進した。国も同じく健康影響について十分認識しながら自動車排ガスのPM規制を怠り続けた結果、メーカーのディーゼル化に加担した責任は重大である▼裁定では損害賠償だけが争われるが、今回は委員長の裁量で両者の協議を促す調停が非公開で実施することが言い渡された▼申請人たちの切実な思いが、公害等調整委員長に届いたと信じたい。お金が欲しいのではない。「患者が安心して治療に専念できる医療費助成制度」の創設を心から求めている。(津)