視角
視角
今年は東日本大震災から14年を迎える。甚大な被害に加え、被災地からは、深刻な不漁、新型コロナ禍、物価高騰の“四重苦だ”という痛切な声が上がり、復活した水産加工業者や旅館などが借金で立ちゆかなくなっている。被災者の高齢化や孤立・孤独死など新たな困難に対して、心のケアやコミュニティーの維持・継続などへの支援が必要である。被災者の状況に応じた中長期的な支援が求められているにも関わらず、政府は支援策の縮小・打ち切りを進め、復興特別所得税の約半分を大軍拡の財源に充てるなどしている。被災者支援、暮らしと生業の再建に国は責任を果たしているとは言えない▼痛苦の教訓を活かすことが政治に求められているが、能登半島地震などの大災害で、同じ苦しみが被災者にのしかかっている。当初避難所の環境は劣悪で、ジェンダーの視点も弱く、住宅や事業の再建への国の支援はきわめて不十分である。その根底には、災害からの再建さえも「自己責任」にしようとする政治がある。被災者がこれからの暮らしに希望をもてる支援を行う政治に転換しなければならない▼今年は東京都議会議員選挙、参議院議員選挙が行われる。自身の生活や仕事なども通して、主権者としての意思を投票で示すことが望まれる。(ゆ)