東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

PFASは重大な健康被害
地域住民や国民と共有を

 4月30日より病体生理研究所でPFAS血中濃度分析装置が稼働しました。病体生理研究所と契約を結べば希望者に検査を行うことができます。研究ではなく、希望する方にPFAS血中濃度検査を実施するのは国内初の取り組みです。
 今年5月から相談外来とPFAS血中濃度検査を始めている健生会・昭島相互診療所の大山美宏医師と検査を受けた同診療所職員の荒井宏さんにお話しを伺いました。

 

有効なデータを早急に示す事実積み上げ行政へ働きかけを
健生会・昭島相互診療所 大山 美宏医師に聞く
SDH・HPHに基づく民医連の基本的な活動

 ―PFAS問題にどうして取り組まれているのでしょうか。
 大山 大きな流れは水俣病やアスベスト被害と同じで、民医連綱領にもありますが、地域住民、国民のいのちと健康を守るという一点です。SDHやHPHの活動そのもです。
 一昨年から実施した多摩地区の住民791人のPFAS血中濃度検査の結果では、半数以上が指針値米国アカデミーの基準を上回り、健康被害の恐れがあることが示されました。しかし、国は環境汚染であるが、健康被害ではないと言い切っている。それを打破して、国や東京都を動かして健康被害を止めなければなりません。
 ―国や自治体を動かすにはどのような取り組みが必要でしょうか
 大山 たくさんの人を診て、丁寧に相談に応じながら事実を積み上げて、「やっぱりPFASは重大な健康被害を起こすんだ」ということを地域住民や国民と共有していくことです。
 PFASの健康への影響は、腎がんのように症例数が少なかったり、脂質異常症のように他の原因による発症の可能性があり、少ないデータでは健康被害を明らかにすることは困難です。ある程度のデータを集積して汚染の実態と健康影響について疫学的な調査をすることが必要です。

各地で検査数を増やす取り組みを
 昭島相互診療所では、5月から現在(6月17日)までに約50人が検査を受けて、19人が基準値を超えています。「昭島のきれいな水」と言っている一方で、4割の方が基準値を超える結果が出ている。多摩地域に居住歴の浅い人でも基準値を超えている方もいます。どこまでPFAS汚染が広がっているかわかりません。
 行政へ働きかけて汚染と健康被害を明らかにしていくには、1行政区で最低500人、5%の住民の検査が必要ではないでしょうか。有効なデータを早急に示す必要があります。汚染は全国的に広がっています。各県連で取り組みましょう。

 

検査が安心につながった
相談外来を受診した荒井宏さんに聞く

 国立市民ですが、昭島相互診療所で受けられることを知り、立川も汚染されていたので、2023年5月に検査を受けました。4種類の項目の合計値で異常値が出ました。当然、不安は感じました。
 国立に住んで20数年、浄水器も付けずに水を飲んできました。家族、子どもも多分そうだと思って、「これはまずいな」と感じました。慌てて浄水器を付けました。1年後、自費で再検査したら数値は下がっていました。やっぱり水が原因だったのかなと感じています。検査をしてみないとわからなかったです。
 PFAS外来に通うようになって、その他のデータも診てもらうようになったので安心しています。
 住んでいる地域には、所々に野菜スタンドがあります。今までは何ヶ所か巡って購入し、食べるのが楽しみでした。しかしPFASによる土壌汚染が心配になり、買い控えるようになりました。
 楽しみを奪われたような気分だし、農家も困っているのではないでしょうか。国や東京都にはきちんと対策を取って欲しいと思います。

 

東京保健会「環境発がん研究センター」
PFAS血液検査を開始

 多摩地域の環境汚染が判明していた健生会では「健生会PFAS専門委員会」を立ち上げ、専門外来を設けて、多摩地域住民の採血を実施。京都大学原田准教授の研究室で、血液検査を実施するなどの取り組みが先行していました。
 2023年5月25日、健生会から、原田准教授および島津テクノリサーチ社を検査施設として同伴訪問を求められました。
 検体として、環境水や土壌等の検査施設は国内にもありますが、血液を検査する施設は数えるほどしかなく、費用は1件数万円から10万円以上と非常に高額で検査が進まない要因になっています。
 環境汚染が判明した地域や化学物質を扱う事業所に従事した住民の汚染実態を確認するためには、民医連内で独自に検査体制を確立し、施設が必要との要請から、要求に応えることを意思決定。検査専門施設としてPFAS血液検査に取り組んで現在に至ります。水などの測定メソッドはありますが、血液測定が確立したものはないこと、分析器と前処理機器と病体生理で、手探りで検査法を模索構築し、現在に至っています。
 東京保健会の定款「この法人は、~国民の生活、健康及び福祉並びに医学の向上に寄与することを目的とする」から「環境発がん研究センター」を設けて、中皮腫の早期発見に向けて「アスベスト(メソテリン)検査」を2007年から5年間かけて、のべ18万件実施してきた実績があります。
 検査を実施するには高額な投資が必要となるため、検査費用を低額にするため、設備や分析器の費用は東京民医連と相談の上で募金として結集することとなりました。検査のご依頼と共に、ぜひ募金へのご協力もお願いします。
(病体生理研究所 藤井浩之)