東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 限られた食料や水に数えきれない人の手が伸びる。命が奪われた我が子を抱いた母親が泣き叫ぶ。親を失った子どもたちが恐怖に震えている。がれきの山でうつろな目をした人々が座り込む。パレスチナ自治区ガザの惨状だ▼2023年10月7日イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃から8か月が経つ。これに対する報復としてイスラエルはガザ地区へ侵攻し激しい攻撃・殺戮。ガザ地区の人口220万人のうち200万人が家を失い、死者は3万人を超えた。その中で子どもと女性の犠牲者が際立つ。人道支援物資搬入を妨害し、栄養失調や餓死が進行し、報復を超えた殺戮が終わることなく繰り返されている▼ハマスによる民間人の殺害や人質事件は許されないが、この事件を利用したイスラエルの過激な攻撃も歴史的経過から見て許されるものではない。民間人や病院も対象となり、数多くの子どもや母親が殺され、狭い地域に閉じ込められ、飢餓と殺戮の恐怖にさらされている。この状況はユダヤ人抹殺のジェノサイドに酷似する。あれほどの辛酸をなめつくしたユダヤ人が人命の尊厳を踏みにじりナチスの再来となっていることに歴史の皮肉を感じる。早く人権を基本とした理性を取り戻してほしい。そして世界はこの地域の平和のために行動していかなくてはならない。(ま)