東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

みなさんの入職を心から歓迎します

健康的な社会実現めざして
東京民医連会長 根岸 京田

 2023年度入職の皆さん、東京民医連にようこそ! 全事業所と全共同組織をあげて心から歓迎いたします。
 足掛け4年にわたる新型コロナウイルスパンデミックは、人々の生活を一変させてしまいました。新人の皆さんも多くの不自由と不安を経験されてきたと思います。8回に及ぶ感染拡大の波もようやく落ち着きつつあるとはいえ、これまでに変異を繰り返してきた相手であり油断は禁物です。
 昨年2月にロシアがウクライナに侵攻して1年以上が経過しています。現地からの悲惨な報道に心を痛めている人も多いでしょう。戦争当事国の人々の苦しみもさることながら、戦争による流通の停滞やエネルギー需給不安が世界的な物価高を招いており、人々の暮らしを圧迫しています。
 それに加えて日本では、東アジアの安全保障環境の悪化が盛んに喧伝され、政府の防衛費増額の計画が出され、人々の将来の生活への不安を煽っています。一方で少子化対策、物価高対策など、生活支援策は全く不十分なままです。
 人は一人では生きられず、健康は社会との関わりに大きく影響されます。より良い医療・介護を目指すならば、社会の仕組みやまちづくりに関わらざるを得ません。健康的な社会の実現を目指して活動することは、いのちに関わる職に就くものの務めであると考えます。
 私たち民医連は人々に寄り添い、誰一人とり残さない、誰一人傷つかない社会の実現を目指しています。より良い明日のために、共にがんばりましょう。

 

必要なケアできる看護師に
東京民医連副会長 高野 好枝

 東京民医連の事業所に入職された看護職員の皆様、入職おめでとうございます。
 今年入職される皆様は、看護学生生活がほぼ新型コロナウイルス感染症の最中で、臨地実習も十分に出来なかった方もいるかもしれません。その中で、看護師をめざし続け、国家試験の受験勉強に取り組んできたことに、心から敬意を表し、歓迎いたします。
 さて看護師となった今、あなたはどんな看護師になると思いますか。民医連の事業所では、疾患だけでなく、様々な困難を抱えた患者さんに出会います。疾患の背景にある問題に気付かされ、患者さんと一緒に向き合うことになります。この積み重ねは、私たちを「考える看護師」に育ててくれます。考えることで初めて患者さんの問題の本質にたどり着くことができ、本当に必要なケアができる看護師になれます。
 これから出会う全ての人や経験が、本当に必要なケアができる看護師になれるよう導いてくれます。その成長を看護部全体で応援しています。

 

平和護り心温まる医療を
医師研修委員長 土谷 良樹

 新入職員の皆様、並びに、もはや新入職員ではない先輩職員の皆様、おめでとうございます。
 地域の住民の方々の、健康と生活を守り、より良くしていくために、私たち東京民医連の医療従事者は頑張っています。自分たちの能力や努力を、自分以外の誰かのために注ぎ込む仕事が医療の真の姿です。必ずしも楽なことではありませんが、自分たちが頑張れば、患者さんたちが笑顔になります。こんな仕事は、そうそうありません。
 世界では戦争が繰り返され、一部の特権階級の人たちの考えによって多くの人々が戦いに駆り出され、傷つき亡くなっていっています。どちらが正しいとか、間違っていると指摘することも正しい行為なのですが、本当の構図は、名もなき多くの人々が、ほんの一握りの権力者によって犠牲にさせられているというものです。
 今また日本は、戦争ができる国に変質させられようとしています。いつでも戦争ができる準備をしながら、目の前の病いや老いに苦しむ人々に心を寄せられるものでしょうか。私たちの医療と研修は、平和でなければ維持できないものです。そしてこの平和は、誰かが守らないと簡単に壊れてしまいます。誰もしないのであれば、私たちがする。それが民医連の心意気だと思っています。
 どうかご一緒に、平和な世の中を護り、心温まる医療を提供していきましょう。

 

患者に寄り添った薬物療法を
東京民医連副会長 島野 清

 新しく民医連薬剤師として入職された皆さんに心から歓迎をいたします。
 薬剤師法第一条には、薬剤師は「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と記されています。数ある医療従事者の中で、生理活性物質と商品でもある「医薬品としてのモノ」と、患者である「ヒト」と両方に関わり、どちらもおろそかにしては成り立たない職種です。
 法にあるように、薬剤師には医薬品の供給の役割がありますが、この3年間は後発医薬品を中心に流通不安定な状況におかれています。このようになったのは製薬企業の経営倫理の問題の他、国の医薬品産業政策や薬価制度に要因があります。新薬には諸外国よりも高い薬価が算定される一方、後発医薬品は1錠あたり5・5円とチョコレート1個、板ガム1枚より安価なものが多くあります。
 新しい医薬品の開発は、患者の治療に恵みをもたらしてくれますが、新薬は同成分の安価な後発医薬品はありませんので、患者さんの窓口での負担額が高くなってしまいます。時に患者さんの要望に応えて、経済的に安価な薬の選択を考えることも薬剤師の役割です。
 薬剤師が働く現場は、このように医薬品をめぐるたくさんの問題の中にありますが、最終的には患者さんに寄り添って、質のよい薬物療法にかかわることだと思います。
 新人の皆さんは、長かった学生生活を終えて社会人として1年目の薬剤師として歩むことになります。初めての職場で不安なこともあるかもしれませんが、仕事を覚えて日々奮闘されることを期待します。