東京民医連

ニュース

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 焦げ付かないフライパン、撥水スプレー、から揚げやハンバーガーの包装紙。「テフロン」といえばお馴染み。私たちの生活を便利にしているこの化学物質は、耐熱性、耐油性、撥水性に優れ、さまざまな業界で使用されている▼利便性の一方で大きな危険をはらむ。化学的安定性が強く、自然界で分解されるのに数千年を要し、「永遠の(フォーエバー)化学(ケミ)物質(カル)」とも呼ばれる。河川や土壌に蓄積して人体に影響を及ぼす。ごく微量でも健康被害を起こし、発がん性や発達影響が指摘されている▼泡消火剤にも含まれ、軍隊の訓練などで大量に使用、国内では米軍基地周辺地域が汚染されている。沖縄は特に深刻な状況にある。低出生体重児の頻度が日本で最も高く、他の社会的因子を考慮しても米軍基地周辺で明らかに高い。基地が汚染源であることが明白なのに日米地位協定の関係で調査すらままならない▼海外では2010年代以降、各地で規制が強化された。しかし日本では飲料水の含有量の基準も緩く、企業に対する規制もされていない▼アスベストは危険性がわかってからも国が使用を許可し続け、大きな被害を生んだ。原発は核廃棄物の処理方法が確立しないまま突き進んだ。安価で便利なプラスチックは、いま深刻な環境破壊を招いている。同じ轍を踏んではならない。(香)