アメリカでトランプ支持者たちが議事堂に乱入、占拠した事件は私たちを驚かせた。民主主義国家を標榜する先進国でのまさかの出来事だったからだ▼トランプは「選挙は盗まれた」と群衆をたきつけた。群衆は熱狂的に盛り上がり、結果議事堂を占拠した。しかし、愚行ではあるが、このような行動の背景には格差社会の問題があることを忘れてはならない▼懸命に働いているのに、圧倒的な格差社会が多くの人びとを貧困や失業に追いやった。トランプは、その不満を選挙に利用した。人びとの不満にトランプの扇動が見事に火をつけ、議事堂に突入させたのだ。一方で、この愚行の別の背景として、人びとの無知と、論理的思考力の欠如が存在している。根拠も示さずに「選挙は盗まれた」と叫ぶトランプに簡単に扇動されてしまうのは、論理的思考力が幼稚なほど欠如していたからだ▼日本でもかつては通勤電車の中で本や新聞を読み、無意識に思考力を鍛えていた。しかし今は深い思考を必要としないスマホゲームに熱中している。そしてＳＮＳを覗いてみれば、事実の確認なしに、非論理的なあおり文書がこれでもかとアップされている▼ステイホームで家にいる事が多くなった今、文章に親しみ、論理的な思考力を養う時間を見つけてみては？（ま）