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昨年10月31日未明、世界遺産の首里城の正殿など8棟が喪失する大火災が発生、焼け落ちた首里城を目の当たりにして、なんとも言えぬ衝撃と、いかんともし難い喪失感に見舞われた▼日本政府とアメリカの植民地支配の状態が続いているなか、沖縄県民にとって、首里城は文化遺産・世界遺産というだけでなく、独立国家だった琉球王国の象徴であり、県民の誇りであり、心の支えである。火災から1年、県の正殿一帯の再建と沖縄美ら島財団の焼損文化財の修復2つの募金に、50億を超す寄付が集まっているという。国内外の人々の真心に胸が熱くなる思いである▼10月26日の菅義偉首相の所信表明では「沖縄の皆さんの心に寄り添う」と強調しつつ、28日に野党が、辺野古新基地建設で「埋め立て工事の中止」を求めたのに対し、首相は「工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながる」と、工事を進める考えを強調。「辺野古が唯一の解決策」と、従来の政府答弁に終始した▼軟弱地盤の存在で工費が膨らみ、工期が見通せなくなっているなか、県知事選挙や県民投票などで、県民が繰り返し示してきた新基地建設反対の民意ははっきりしている。首相の「沖縄県民に寄り添う」姿勢は全く見えない。(MF)