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核兵器禁止条約が来年1月に発効することになった。歴史的な前進だ。しかし、唯一の被爆国である日本の政府は「核保有国が参加しておらず実効性に疑問がある」などとアメリカに歩調を合わせ、条約に背を向けている▼冷戦時代、核を保有する大国の力のバランスで平和が保たれるという核抑止力論を多くの人びとが受けいれてきた。しかし冷戦終結後も武力紛争は絶えず、核不拡散を唱えるNPTの枠組みだけでは核廃絶に向けた道筋は一向に見えてこない。そればかりか、いま「使える核兵器」の開発、実戦配備がアメリカやロシアで進み、偶発的に使用されるリスクをはらんでいる。核兵器が抑止力というのは詭弁で、人類を危険にさらす、まさに人道的にも倫理的にも許されないものなのだ。禁止条約の発効を受けて核保有国自らが核廃絶に踏み出すべきだ▼日本は原爆の被害ばかりか、福島第一原発事故も経験し、「核」の悲惨さを見せつけられている。国民の多くは条約の批准を求め、日本政府の態度を世界が注目している▼第二次大戦後ずっとかたちづくられてきた対米従属の仕組みのなかで、自立した外交を貫くのは容易ではないと思う。様ざまな圧力を受けるだろう。それでも、アメリカ一辺倒ではなく日本と世界にとって正しい選択をする国でありたい。(B)