外国人医療費問題・無料低額診療事業で制度改善へ都に直接要請
都民生活要求大行動実行委員会
外国人医療費問題・無料低額診療事業で制度改善へ都に直接要請
都民生活要求大行動実行委員会
11月1日、都民生活要求大行動実行委員会(注)は、外国人医療費問題、無料低額診療事業で東京都に直接要請をおこないました。
はじめに、西坂昌美東京民医連事務局次長が「外国人にも医療を受ける権利がある。また、医療機関には外国人に対しても応召義務がある一方、無保険・生活困窮の外国人に対する医療提供では一民間医療機関での対応を超える問題があり、行政の役割と責任が必要である」と指摘しました。そして、森松伸治東京ほくと医療生協組織課長が、北区の相談会などでつながった中国出身の40代女性やチュニジア出身の青年など働く外国人の貧困について、澁谷直道中野共立病院SWがフィリピン出身の40代女性の困難なケースについて報告しました。
フィリピン出身の女性は日本人男性と結婚後、夫の失踪により本人と4歳の男児が取り残されました。日本国籍がある男児は生活保護を受けることができましたが、母親の女性は不法滞在ということで、仮放免手続きとなり、生活保護利用も就労もできません。また、公的医療保険もないなかで健康を害し、無料低額診療事業(以下無低診)利用でやっと受診する事ができました。
こうした外国人への医療を行政医療として都立病院で実施することを求めましたが、病院経営本部からは前向きな回答はありませんでした。
次に、都立病院での無低診の実施を要望。届出要件の一つ「全患者のうち10%が生活保護利用者」を満たせず難しいとの病院経営本部からの回答。「無低診実施の医療機関でも10%を切っているところもある」と、できない理由にはならないことを指摘し、再度実施を求めました。
3つ目の要請は、無低診を利用した患者の院外処方での薬剤費助成。抗癌剤やホルモン剤、インシュリン製剤で高額になるため、旭川・青森・沖縄・高知の各市で実施していることを伝えました。生活福祉部は「上司に伝えたい。実施している自治体については、こちらでも調べてみたい」と回答。
相談活動でつながり、無低診で受診や援助につなげるなど、具体的な事例を踏まえて制度改善をめざす「人権としての社会保障運動」がいっそう求められています。
(注)美濃部革新都政(1967年~1979年)以来続く行動で、東京民医連も実行委員会に参加しています。