東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

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 今年、上野千鶴子氏が東京大学の入学式で述べた祝辞が物議を醸した。医学部不正入試問題などから様ざまな女性差別問題について触れ、東大合格者という「勝ち組」が陥りやすい自己責任論に冷や水を浴びせた。単なる祝辞でないメッセージ性に富む内容だ▼それがどうして物議を醸すのか?例えばTwitterでは東大の新入生と思われるアカウントから祝辞を馬鹿にする発言が散見され「入学式の祝辞で言うべきことではない」との意見も多かったようだ。新自由主義だけが原因ではないと思うが、将来の日本を背負って立つ東大生の反応としては残念な気もする▼上野氏はその後インタビューで「当たり前のことを言っただけ」としつつ、「東京医大の不正入試を世論は許さないし、#MeToo運動で政府の高官は辞職するし、上野が東大入学式の来賓祝辞に呼ばれた。数十年前には考えられなかったことです。変化は確実に起きています」とも語っている▼最後に祝辞の一節を引用したい。「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」(た)