東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

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 静かな森の中で枯れ木を採集している貧しき人びとが、馬に乗った屈強な男たち(官憲)に襲われ、容赦なく殴打され、殺戮される▼「木材窃盗取締法」を痛烈に批判するマルクスのナレーションがかぶさる【マルクス・エンゲルス】カール・マルクス生誕200年記念作品の映画▼1843年初頭、絶対王政下。イギリスで産声を上げた産業革命以降、社会体制が大きく揺らぎ、多くの貧困と差別があちらこちらで生まれていた▼かつては民のものだったはずの森が今や枯木の枝の一本たりとも産業資本家のものであるという所有権をめぐる論争は、産業革命がもたらした差別と貧困の問題を浮かび上がらせた。人間の尊厳も奪われ、不当な労働が強いられていた。やがてブルジョアとプロレタリアという階級間の争いへと発展していく▼20代半ばのカール・マルクスは、搾取と不平等な世界に対抗すべく独自の政治批判を展開するが、そのためドイツを追われ、フランスへたどりつく。そこで、エンゲルスと運命の出会いを果たし、彼の経済理論に瞠目する▼深い友情をはぐくんだ二人は、大きな運命のうねりに巻き込まれていく。時代を超えて読み継がれる『共産党宣言』誕生へとつながった▼絶望的な現実社会の中で、『共産党宣言』の言葉は希望にみちていただろう。(日)