東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

新入職員の皆さん 東京民医連へようこそ!

東京民医連 会長 根岸 京田

 全院所、全職員、およびすべての共同組織の皆さんとともに歓迎いたします。
 20世紀後半からの経済のグローバル化を背景に、世界中で経済格差が拡大し、経済格差は健康格差と憎悪を生み、局地的な紛争や無差別テロリズムの原因となっています。社会は寛容さと多様性を失いつつあり、昨年末からの英国のEU離脱、米国のトランプ政権の成立、ヨーロッパでの難民受け入れ拒否など、右傾化と孤立主義、自国第一主義が広がっています。市民社会は経済格差の進行により極少数の富裕層と圧倒的大多数の貧困層に分断され、経済のグローバリズムに世界は耐えかねているように見受けられます。
 日本では安倍政権が長期化し、新自由主義的な大企業重視の政策が推し進められた結果、社会保障は削減に次ぐ削減で、格差と貧困はかつてないほどに拡大しています。その結果として高まった社会ストレスを背景に、立場の弱い人や障がい者の差別、さらには福島原発事故からの避難者までも迫害してしまう風潮が広がっていることは悲しい限りです。
 自分と違う考えの人たちを排除しようとする心理は、医療、介護・福祉の世界から最も遠くに位置します。これからみなさんの前に現れる患者さん、利用者さん達は何らかの「困りごと」を持っています。まずはその方々の切実な訴えに真摯に耳を傾けてください。そして自分のことのように共感し、寄り添ってください。先入観を持って相対し、ひたすら自立を強要するのは私たちの立場ではありません。困りごとを少しでも軽くする方法を一緒に考えられるような、そんな人生の伴走者になっていただきたいと思います。そして、目の前の患者さんや利用者さんを通じて社会を見る目を養って下さい。他者が幸せになるのを助けるのが医療・介護・福祉であるとするならば、より多くの人の幸せを実現するため社会や政治に目を向けることは必然です。
 これから東京民医連での職業人としてのスタートを切るみなさんが自分の仕事に自信を持てるようになるまで、多くの困難や試練があることでしょう。行く先が見えなくなった時は先輩に相談してみて下さい。東京民医連の先輩たちは皆さんへの助言や援助を惜しまないはずです。理想に向かって一緒に進むことのできる仲間こそ人生の宝です。ともにがんばりましょう。