東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

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「特定行為に係わる看護師の研修制度」が施行された。日本看護協会は推進している▼会議で、身寄りのない日雇労働のAさんが動けない状態で発見され運び込まれたと報告あり。治療が功を奏した数日後、ベッドでもがいている体格のいいAさんがいた。担当看護師は他のケアで動いている。酸素マスクが顎にかかり、両手はせん妄のために抑制されている。手を握ると両手ともしっかり握り返してくる。目は開けないが口は開けている。もがく理由がそこにあった。横に向ければ自分で出せそうだ。ベルトを外し横向きにして水を含ませた途端にゲホッと出た。りっぱな痰だ。目を開けている。うがいもうまいがまだ絶食だ▼九十代Bさんは、死を間際に入院した。手足のむくみもなく、よく介護されている。「水ほしいの」とはっきり言った。呼吸も穏やかだ。唇で渇きがわかった。横に向けて水を含ませると「ゴクン」と飲んだ。「おいしい・ありがとう」それ以上求めなかった。家族が来たがAさんが望まないことは家族も望まなかった。見守られて静かに逝った▼なぜ、患者さんを待たせなければならないのか。側に看護師がいないことで患者さんを待たせすぎている。看護を求めているのは患者さんだ。看護がなければ、回復を妨げてしまうし、人生を全うする時の一口の水を「おいしい」と言うこともできない。特定行為は38項目の医療行為である。職能団体である日本看護協会に看護とは何か答えてほしい。(日)