東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

地域に出て行政との連携を
経済的事由による手遅れ死亡事例調査報告集会in東京
3つの事例の背景や地域的特長など報告

 7月23日、経済的事由による手遅れ死亡事例調査報告集会in東京がソーシャルワーカー部会と社保・組織部の共催で行われました。
 全日本民医連の『経済的事由による手遅れ死亡事例調査』から東京民医連の3事例を選び、担当者から事例について、スーパーバイザーとして同じ職場の職員からその背景や地域の特徴などについての報告がありました。
 王子生協病院の瀬尾真奈美MSWは、ワーキングプアに陥り、国保料を払う意思があっても払えなかった元タクシー運転手の事例を紹介。「行政は払えない人=ダメな人という対応をやめて、困った人を救うのだという視点を持つべきだ」と訴えました。スーパーバイザーの遠藤賀子MSWは、今後、国保44条や77条の運用が求められるとしたほかに、手遅れになる背景に自己責任論の蔓延や規制緩和での賃金引下げがあると分析しました。また、ヨーロッパでは住居が人権的位置づけであることも紹介し、日本の住宅行政の問題を指摘しました。
 東葛病院からは、労働収入が月に15万円ほどで、国保資格証明書となっていた50代女性のがん患者の事例が報告されました。報告者の豊田恵太MSWは、行政が早い時点で経済的問題の相談に対して支援していたら、早期に受診できていたと指摘しました。スーパーバイザーの柳田月美MSWは、民医連職員であれば生活と労働を意識しながら働くことが重要だと述べて、経済困窮者が社会から孤立しており、地域に出て行政との連携を深める必要性があると訴えました。
 橋場診療所の松井美春看護師からは、経済的理由でがん治療を中断した50代女性の事例報告があり、大学病院で差額ベッド代などがきわめて重い負担となることがわかる事例でした。スーパーバイザーの前田太郎事務長は、自治体の職員も病院から追い出され、訪問診療を希望する人への対応に苦慮していることにふれて、本来行政が対応することを私たちが無料低額診療事業で救っている現状だと警鐘を鳴らしました。
 最後に、田村直東京民医連副会長の講評があり、「今日の事例に代表される、困っている人たちは私たちの周りにひっそりと暮らしており、どう出会うかがとても重要だと感じました」と述べました。