東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 ▼県連事務局に来て6回目の桜。少しも嬉しい気持ちになれない。桜の季節と2011年3月が重なってしまう▼楢葉町は、昨年9月5日に避難指示が解除された。解除時の人口7363人の内、週4日以上の滞在者を帰還者として、2月15日現在の帰還者は440人。戻った人も戻れない人も、不安、嘆き、憎しみ、苦しみの気持ちはいかばかりだろう▼全国どこでも原発のある所は楢葉町と同じ苦悩の可能性がある▼東京新聞3月6日付によれば、原発事故で避難した後、病状や体調が悪化して死亡した「原発関連死」も1368人を超えたという。原発事故さえなければ助かった命。被害は拡大している▼「原発を動かしている間は札束で騙し、事故が起きたら見捨てる。賛成してきた人も反対してきた人もどん底で苦しむ。これが被災地の現実である」楢葉町の宝鏡寺住職の早川篤雄氏のこの言葉がすべてを言い尽くしている▼だが、希望はある。2016年3月9日の大津地裁の判決だ。「耐震性能に欠け、電源喪失等を原因として周囲に放射性物質を惹起する危険性を有する」として「関西電力高浜原発3、4号機を運転してはならない」と仮処分決定した。運転中の原発が停止されたのは日本史上初めてだ▼「国民の命」に驚くほど無関心な政府は自らの手で変えるしかない。(濱)