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『矛盾(むじゅん)』の語源は「すべての盾(タテ)をつらぬく矛(ホコ=槍)と、すべての矛を防ぐ盾は両立しない」との中国の故事だ▼2月23日付東京新聞が、弾道ミサイル防衛費が04年度からの13年間で、政府答弁の1・5倍の一兆五千八百億円に達すると報道▼元航空自衛隊空将補でNPO「国際地政学研究所」の林事務局長は、「弾道ミサイル防衛能力を向上させれば、相手はさらにかいくぐるミサイルを開発する。巨費を投じ新システムを導入しても「穴」は出る。際限ない競争が果てしなく続き、歯止めが利かない「安全保障のジレンマ」に陥る」と▼米ソ冷戦時代から続く「核抑止論」も同様のジレンマの中にある。一方が10発持つと他方が20発つくる。結果、冷戦終結後も世界の「運用保有核」は、解体待ち(退役核)も含めると一万六千四百発(14年度米国務省発表)▼天文学的なお金が浪費され人類絶滅の恐怖世界がつくられた。もしも、このお金を世界の飢餓や貧困対策、いのちとくらしを守るために使っていたら▼過去は変えられないが未来は変えられるかもしれない。矛も盾もなくして、互いの国民の幸せを願い合う世界がつくれるかもしれない。その時、日本の平和憲法が世界標準になるかもしれない。毎年、新入職員の輝く瞳を見る時、そんな想いにリセットされる。(m)