視角
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5月20日の国会党首討論で安倍首相が、ポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と述べたことが話題になった。「海外紙も報道し、ネットでの再生回数は、22日までに4万回近くにのぼっ」たと、23日付赤旗が報じた。もちろん記事は単に揶揄しているのではない。「読んでいない」とは首相の虚言である可能性も強く、「侵略戦争」と認めない姿勢が問題なのだ。▼ポツダム宣言は言うまでもなく1945年7月26日に発せられた日本の降伏を求める連合国の声明。応じなければ「迅速かつ完全なる壊滅あるのみ」とする最後通告ともいうべきもの。▼当時このポツダム宣言を黙殺した日本は、その後8月6日と9日に原爆投下を受け、14日に宣言受諾を通告する。受諾の時期が早ければ二つの原爆投下はなかったとはよく言われる話だ。戦争を悪としない政治支配層の考え方が決断を遅らせたことは容易に想像がつく。▼安倍政権は「平和安全法制」なる法案を国会上程、審議入りした。この法案の実態は「海外で戦争する国」へと日本をつくりかえる戦争法案。70年の時を経て、ポツダム宣言受諾をよしとしない当時の閣僚が、亡霊のようにこの法案を掲げてさまよってでもいるようだ。悲惨な戦争を再現させることはできない。沖縄の基地反対闘争と連帯して阻止したい。闘う時だ。(正)