福島の今、被災地の実態を学んだ
東葛看護専門学校が福島フィールドワーク
今一番困っていること…「ここで暮らしていること」
福島の今、被災地の実態を学んだ
東葛看護専門学校が福島フィールドワーク
今一番困っていること…「ここで暮らしていること」
東日本大震災、福島第一原子力発電所事故から、まもなく4年。福島の今、被災地の実態、避難生活者の事実を学ぶ目的で、2月5日~6日に東葛看護専門学校の看護学生4人と教員が福島フィールドワークを行いました。浜通り医療生活協同組合伊東達也理事長の案内を受けながら、国道6号線を北上、いわき市から広野町、楢葉町、富岡町と原発避難区域を見学しました。
避難区域を周って印象的だったのは、そこで働く労働者の姿と、至る所に置かれているフレコンバックの姿でした。駅ごと流されたJR富岡駅付近は30年間保管できる中間処理施設を建設中でした。近辺にはフレコンバックが沢山並んでおり増え続ける汚染土壌の問題を目の当りにし、除染は終了したといっても安心してこの地域で生活することは困難だと感じました。
夜は楢葉町から、いわき市内の仮設住宅で3年半避難生活を続けているAさん宅に学生と共に5人で宿泊させていただきました。間取りは2Kで長屋6軒続き仮設住宅でした。
家族で楢葉町に帰りたい
6回生活場所を転々とし、7回目でここに移り住んだとのことでした。避難生活は本当に苛酷で、寒い中毛布もなく一週間過ごした。あの経験から、「置く場所がなくても当時着ていたもの、もらったものは捨てられない」と話してくれました。「今一番困っていることは?」と質問に、全員の方が「ここに暮らしていること」と答えてくれました。
元々、田舎で大きな家に暮らしていた。米を作り、家族みんなで生活をしてきた。今は家族離ればなれ。足元には洗濯物、体を大きく伸ばすこともできない。トイレの音も寝言も聞こえてくる。お互いに気を使いストレスなのだと。そして一日がとても長く感じると。共通した願いは「家族で楢葉に帰ること」でした。「家族で生活したい。孫と喧嘩したい。そんな小さなことが願いだよ」と話してくれました。また「若い人たちが来てくれてうれしい」と、常に笑いが絶えず明るく、「私たちも頑張るから、あなたたちも頑張ってね」と励ましの言葉もいただきました。悲観するだけでなく、国や東電に言うべきことはきちんと伝えることが大事なのだと力強く語ってくれました。
福島の現状を学び、改めて原発はいらない。第二の福島を作らないためにも今、声をあげなければいけない。現状を知ったからには、その義務があると感じました。一人の人間として医療者として、どんな立ち位置で生きていくのか、深く考えさせられたフィールドワークでした。
(東葛看護専門学校・青山陽子)