東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

最高裁の判断を行政は無視
不適切な認定基準改めず幕引き図る


 有機水銀中毒による公害病である水俣病は、公式に発見されてから2014年5月1日で59年になりますが、いまだに問題は解決されていません。
 2004年10月15日、最高裁判所は、チッソ株式会社(以下チッソ)・国・熊本県の責任を明確に認めるとともに、国の認定基準では棄却されてきた感覚障害のみの水俣病の存在を認め、水俣病患者を司法的に救済しました。しかし、行政は、不適切な認定基準を変えようとせず、環境省は2005年10月から発行した新保健手帳(医療費のみの保障に過ぎず、しかも認定申請しないことと訴訟しないことが交付条件)によって、水俣病問題の幕引きを図ろうとしました。
 水俣病患者は、救済を求めるため2005年10月3日にチッソ・国・熊本県を被告として裁判を起こしました。この訴訟は、二度と水俣の悲劇を繰り返してはならないという思いから、「ノーモア・ミナマタ国家賠償請求訴訟」と名付けられ、2011年3月に約3000人の原告が勝利和解を勝ち取り終結しました。
 しかし、2009年に水俣病問題の「最終的包括的解決をする」ために制定された法律「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」の運用においても、
 ・有機水銀の暴露要件について詳細な書類提出(魚を買った時の領収書! など)が求められた
 ・非該当とされた場合の不服申し立て(異議申立)を認めない
 ・認定申請を12年7月で打ち切った
 という不十分さで、最高裁や公害健康被害補償不服審査会採決でも国の認定制度運用の問題を指摘しましたが、改められませんでした。このため、いまだに救済されない被害者の救済は裁判による以外になく、昨年6月に熊本、12月に新潟でノーモア・ミナマタ第2次訴訟が提訴され、東京でも未救済患者らによる提訴を具体化するなかでの検診の実施となりました。