人のため、自分のために働くこと-精神科医からのアドバイス-
記念講演 香山リカさん(精神科医・立教大学現代心理学部教授)
看護・介護に感謝
香山リカさんの講演要旨を紹介します。
被災者支援に行かれた方は多い。自衛隊はご遺体収容などを行ない感謝されました。しかし自治体職員は、心の準備もないまま自らも被災し家族を失いました。その上、被災者の対応や遺体安置など一生懸命に職務を果たしたが、不満のはけ口の受け皿となりました。自衛隊に比べうつや自殺が多く発生しました。
看護は直接患者に接し、感謝の言葉を聞くことができます。看護師や介護の仕事に感謝したい。
児童養護施設で使命感を持ち、自分の時間も使い熱心に仕事をしていた人の例。児童にあたるようになり、仕事ができなくなってしまいました。頑張りが効いている時はよいが、無理をすると自分が精いっぱいになる。できない自分に自信が持てなくなり、尊厳や誇りを失っていく。自分より弱い人にあたるようになるといいます。
やりすぎないこと
更に、寄り添うことも大事だが落とし穴があります。使命感で限界を超えると心が疲労する。これを「共感疲労」といいます。やりがいや満足感とやりすぎないことのバランスをとることが、長く仕事をしていくための秘訣。仕事から離れて休むことは義務であると語りました。
また滑りがちな気持ちへのチャージの方法は、お互いのよかったことやねぎらいの言葉をかけ合うこと。自分の誇りを高めることができます。
参加者の感想の多くが頑張り過ぎている自分に気づき、「働き続けていくためには自分らしく頑張り過ぎないことが大切である」「自分のやりたいことをしよう」などの意見が聞かれました。(立川相互病院・中村美佐子)