東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

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 原発事故でキャベツの出荷が制限されると連絡を受けた翌日自らの命を絶った福島県須賀川市の農家の男性の遺族は、「俺は母ちゃんと二人でロープにぶらさがった親父を下ろしたんだよ。毎日農作業していても、一日も頭から離れないんだよ」と、言葉を振り絞るように東電に訴えた▼全世界の400基以上の原発のうち、中程度以上の地震危険地帯に設置され、かつ海岸から1・6km未満にあって地震にも津波にも弱い原発は39基あるが、そのうち35基は日本の原発であり、日本の原発は常に脅威にさらされている▼ましてや、福島第一原発事故では未だ、格納容器のどこが壊れたのかさえわからないにも関わらず原子力規制委員会は原発再稼働の「新基準」を決定した▼「新基準」では、原発の真下に活断層があっても「露頭」がなければ設置を認め、「第二制御室」や「フィルター付きベント」設備の設置(加圧水型軽水炉)などは5年の猶予が設けられている。放射能汚染水対策も問題にされず、およそ安全性を担保していない▼そして自民党の高市早苗政調会長が福島の事故で死者が出ていないことを理由に、再稼働を目指す考えを表明したことは、原発事故で人生を大きく歪められた住民のことをいかに軽視しているかをはからずも露呈した▼安倍政権の再稼働への暴走を許してはならない。(目)