東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

東京民医連調査 風呂、食事回数減らす/昼・夜300円弱の牛丼

生活保護受給者 厳しい生活

基準引き下げは事態悪化

いのちと健康おびやかす

 全日本民医連の「生活保護受給者の生活実態調査」に東京民医連が取り組み、137人の方に面接による聞き取り調査を行ないました。この調査で「孤立」、節約のため「入浴や食事回数を減らす」「人との付き合いを減らす」など、健康で文化的な最低限度の水準を満たしているとは言い難い実態が明らかになりました。東京民医連は国により強行されようとしている生活保護基準の切り下げが生活困難を拡大し、いのちと健康を危険にさらす可能性が高いと記者会見で告発しました。

 東京民医連は5月16日、都庁の記者クラブで生活保護受給者の実態調査について記者会見を行ない、新聞社など8社が参加しました。
 石川会長は冒頭のあいさつで、「安倍内閣が押しすすめる生活保護基準の引き下げはすべての国民生活に影響する。受給者の生活実態を把握することなく引き下げを強行することに断固反対する」と述べました。

申請の7割弱 「病気と失業」

 小嶋社保・組織部長の調査結果報告では、受給者の多くが疾病による失業で経済困難に陥り申請に至ったことが報告されました(グラフ(1))。
 「妻と離婚し、病気で就労困難となった(60歳代男性単身)」、「同居していた知的障害の長女と合わせて医療費が二~三万円になってしまったから(70歳代母子世帯)」など、申請のきっかけは複合的です。
 食事に関するアンケート結果では、一日の食費が一〇〇〇円未満は40%で、37%の方は一日の食事回数が二回以下でした(グラフ(2))。「朝コーヒー。昼夜三〇〇円弱の牛丼(70歳代男性単身)」、「インスタント中心(60歳代男性単身)」など、節約の努力がうかがえます。

グラフ

最低限の生活 今でも保てず

 このほか受給者の多くは社会的に孤立している状況や、冷蔵庫やエアコンなどの生活必需品の修繕が必要なことなど、憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活は、現在の基準でも満たされているとは言いがたい実態が明らかになりました。
 ソーシャルワーカー部会の渋谷部会長は、保護基準の改定は役所の「水際作戦」を助長してしまう可能性があるとし、「一〇〇人に一人もいない『不正受給』よりも、貧困ビジネスのほうが問題である」と指摘しました。

保護基準絶対引下げないで

 記者会見に同席した生活保護を受給する71歳の女性は、「物価が上がると底辺の人間はもっと苦しくなる。保護基準を下げないでほしい」と訴えました。
 会場に参加したマスコミ各社からはいくつかの質問があり、問題への関心の高さがうかがわれました。
 東京民医連では、今後も継続して生活保護受給者の実態を追い、広く発信していくことを確認しました。