ともに連帯、助け合いの社会を 年頭にあたって 東京民医連会長 石川 徹
新年あけましておめでとうございます。
今、日本がすべきことは、新自由主義的な改革をこれまで以上に進めてあらゆる分野で競争と「効率化」を求め、格差を拡大していくことではありません。
ハーバード大学が1996年から世界各地で行なってきた大規模な調査によればソーシャル・キャピタル(地域における相互の「信頼感」や「連帯意識」のこと)が健康と長寿に大きく影響しているとされています。
わたしたちは限られた一部の人が裕福になるのではなく、99%の国民が豊かになる社会を目指さなければなりません。「豊か」になるというのは、経済的なことばかりでなく「人間関係」の豊かさが大切です。他人を押しのけるのではなく、困っている人がいれば手を差し延べて、「ともに助け合いながら」生きていくということ、人類が本来、持っている温かい気持ちを大切にする社会です。
誰でも心地よいのは他人と競い合っているときではなく助け合っているときではないでしょうか。「戦争」「国家」「階級」などが生まれたのは何十万年にわたる人類史という「ものさし」でみればごく最近のことです。
この連帯、助け合いの社会は国がその本来の役割を投げ捨て住民に押しつけ強制する「自己責任」「自助」やその延長での「共助」とは根本的に異なるものです。
この国の、この地域のあり方を決めるのは「誰か」ではありません。私たち自身です。そしてそれは、私たちが実際に生活する地域で、みんなが手をつなぎ、知恵を出し合ってより良い地域、より良い社会を創っていこうという、こういうことを始める、この積み重ねによって少しずつ実現していくのではないかと思います。
今年も共同組織の方々とともに「住み続けられるまちづくり」に向けて活動を強めていきましょう。