東京民医連

東京民医連のご紹介

みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

水俣大検診 過去最大 1413人受診 87%に触覚・痛覚障害

天草会場 多くが指定地域外の居住歴 東京民医連から73人参加

 6月24日、熊本県水俣市、天草市、鹿児島県出水市の6会場で不知火海沿岸住民健康調査(水俣大検診)が実施され、豪雨にもかかわらず、1413人が受診する過去最大の健康調査となりました。
 集計可能な1394人のうち1216人(87%)に、水俣病特有の触覚または痛覚の障害を認めました。
 東京民医連からは73人がスタッフとして参加し、担当した検診会場の「天草教育会館」では20の診察ボックスのうち19ボックスで東京の医師が診察しました。
 約200人の受診者のほとんどが救済策の対象地域外の居住歴で、ほとんどが初受診でしたが、症状の強い方が非常に多く、約9割に感覚障害を認めました。
 天草市は救済指定地域がごく一部に限られているため、指定地域外に全身性無痛症などの重い症状の被害者も多く取り残されていることが明確に示されました。

参加者の感想

年齢とともに悪化する可能性

 わたしは今回、診察介助を担当したが、一見どこも悪いところはないように見える方でも視野が狭く、「車の運転が大変」とおっしゃる方がいたり、手のふるえはなくても触覚や痛覚がとても低下しておられる方が多くいたりした。
40~50代の若い受診者も多く、年をとるにつれ症状が悪化してくる可能性も考えられるため、申請した人、全員が支援を受けられるといいと思う。
 特措法は今年の7月に申請が締め切られるというが、対象地域外でこれだけ多くの人に所見がみられたこと、また、これから症状が出てきて水俣病で苦しむことになる人がまだまだいるだろうことをきちんと訴えていかなければならないと思う。支援がこれからも平等に行き届くことを願いたい。
 悪天候の中、検診開始が9時30分にもかかわらず、7時30分から待っている方もいたという話に、受診される方々の本気の気持ちをみた感じがし、身が引き締まる思いだった。
(すながわ相互診療所保健師 櫛谷香緒利)

被害者を救えない「特措法」

 水俣病は、公害の原点であり、故郷熊本が抱え続ける宿命ともいえる社会問題です。その問題を最終解決するとのうたい文句で制定された水俣病特措法には、時間と場所に関する救済対象の線引きがあり、新たに水俣病被害者を救済するとは思えないと、今回の検診に参加して改めて知らされました。
 天草での検診には対象地域以外の方が大部分で、そのほとんどの人が何らかの症状を持っておられることが、特措法の問題点を明確に現していると思います。また、水俣病発生当初からの病気に対する差別を恐れて、これまで申請等を行わなかった方々が今も数多くおられることに事件の根深さを感じました。
 2年前まで熊本県職員として水俣との関わりもあった者として、真の反省と行動を取らない行政の問題を強く感じるとともに、本当の「あたう限りの救済」が行われるよう民医連の一員として活動していきたいと思いました。
(たくみ外苑薬局薬剤師 坂田政幸)