東京民医連

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みんいれんTOKYO(機関紙)1面の記事の抜粋です

視角

 政府は7月末で水俣病被害者からの救済申請を打ち切り、幕引きを図ろうとしている▼加害者である行政が本来やるべき実態調査を一度たりとも実施しないばかりか、横光環境副大臣は集団検診について「8月以降の実施は迷惑」と差別・偏見を恐れて名乗り出られないという社会問題の包含を無視した発言をする始末である。西日本新聞はこの横光発言を「そんなに終わらせたいか」と見出しをつけて報道した▼救済策の対象外地域にも不知火海の魚を買っていた地域には被害が広がっている。5月に代々木病院で実施した検診でも、山村に住んでいたという受診者から「行商の方はルートの最後なのでと入れ物ごと魚を全部置いていくため、魚を食べた後、入れ物を洗って次に来たときに返していた」と話された。山間集落の一番奥に住んでいたため、むしろ魚の摂取量が多かったのである▼東京電力福島第一原発事故で、原発から北西40キロに位置する飯館村が助言チームから高い放射線量が計測され緊急避難提言を受けたにもかかわらず、政府が避難の対象区域とするまで三週間以上を要したことと重なり合う▼水俣病が公式発見された後も12年間にわたって水銀を流し続けたことがどれだけ被害を拡大したか、真実が明らかになるまで水俣病を終わらせてはならない。(目)